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子どもと一緒に知るキャッシュフロークワドラント!お金の流れから考える働き方とは

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子どもと一緒に知るキャッシュフロークワドラント!お金の流れから考える働き方とは

キャッシュフロークワドラントという言葉を聞いたことはありますか?稼ぐ金額ではなく稼ぎ方に注目した考え方で、お金の自由も時間の自由も手に入れたいと考えている時には参考になる考え方の一つです。お金の稼ぎ方に種類があることを知っておくと、子どもの働き方の選択肢を広げてあげられるかもしれません。こちらの記事では、キャッシュフロークワドラントとはどのような考え方なのか、各クワドラントの特徴、このクワドラントをどのように活かしていけばいいのかを解説していきます。

もくじ

    キャッシュフロークワドラントとは?

    キャッシュフローとは、お金の流れのことです。また、クワドラントには4分割という意味があります。それらを合わせた言葉であるキャッシュフロークワドラントとは、お金の稼ぎ方によって人々を4つのカテゴリーに分けた考え方のことです。上の図がキャッシュフロークワドラントです。

    「金持ち父さん貧乏父さん」シリーズで有名な、投資家でもあり実業家でもあるロバート・キヨサキ氏が『金持ち父さんのキャッシュフロークワドラント』という本の中で提唱しています。お金と自由な時間が欲しいと思った時に参考にしたい考え方の一つです。
    各クワドラントの特徴とともに、左右でどのように異なるのかみていきましょう。

    各クワドラントの特徴は?

    4つのクワドラント(カテゴリー)は、

    • 労働者(Employee)
    • 自営業者(Self Employee)
    • ビジネスオーナー(Business Owner)
    • 投資家(Investor)

    に分けられます。

    英語の頭文字を使って、各クワドラントを指すこともあります。4つのクワドラントを並べる時には場所が重要です。右(EとS)と左(BとI)では大きく稼ぎ方が異なるからです。まずは各カテゴリーの特徴をみていきましょう。

    労働者(Employee)

    労働者(Employee)のカテゴリーに属するのは、会社で働いて、お給料をもらう人たちです。世界にいる人たちの約70%がこのカテゴリーに属しています。日本での労働者(E)の割合は世界よりも多く、約90%の人たちが属しているといわれています。

    働き方でいうと、会社員、公務員、派遣社員、アルバイト、パートなどはこのカテゴリーに分類されます。どの働き方も自分の時間をお金に変えているのです。キャッシュフロークワドラントの考え方に基づくと、一般的にお金持ちな職業でイメージできるお医者さんは、開業医ではなく病院などに勤めている場合は、労働者(E)カテゴリーになるのです。

    労働者(E)クワドラントのメリットとデメリットをみていきましょう。

    労働者(E)のメリット
    ・自分自身で仕事を獲得する必要がなく、会社に入ることですぐに仕事に取り掛かれる
    ・仕事で成果を上げれば、それを材料に昇給の交渉をすることで、収入を上げられる可能性がある

    労働者(E)のデメリット
    ・働く場所や仕事内容は、会社側が決めるため自分で選びにくい
    ・すぐに効果のある稼ぎ方は「残業をする」といった方法であり、それは自分の時間と交換しているため限界がある

    労働者(E)クワドラントでは、あらかじめ仕事上でやるべきことが決まっているため、自分自身で仕事を獲得する必要がなく、会社に入ることですぐに仕事に取り掛かれることがメリットといえるでしょう。仕事で成果を上げれば、それを材料に昇給の交渉をすることで、収入を上げられる可能性もあります。

    一方で、働く場所や仕事内容は、会社側が決めるため自分で選びにくいといった特徴があります。また、すぐに大きな金額を手にするには、労働者(E)クワドラントでは難しいとされています。なぜならすぐに効果のある稼ぎ方は「残業をする」といった方法であり、それは自分の時間と交換しているため限界があるからです。

    また、労働者(E)は、景気に左右されにくく安定しているといわれるカテゴリーとされてきました。しかし、日本においては、給料が上がりづらく、円安などが原因の値上げも起こりやすいため、なかなか安定しているとは言いにくいですよね。もし、労働者(E)であるよりも自由な時間が欲しい、やってみたいことがある、大きな金額を稼いでみたいと思った時には、他の3つのクワドラントの稼ぎ方も参考にしてみてください。

    労働者(E)についての詳しい記事はこちらから!
    働いて自分の強みを見つけよう!子どもに伝えたいキャッシュフロークワドラントの労働者(E)の特徴を解説

    自営業者(Self Employee)

    自分自身で事業を行っている人は、自営業者(Self Employee)のカテゴリーに属します。世界の約15%がこのカテゴリーに当てはまるといわれています。個人事業主、開業医、事務所を持っている弁護士などがこのカテゴリーに属する人たちです。人気の職業となったYoutuberも自分自身で動画の撮影をし、編集をして動画をアップロードするという作業を自分自身で行っている場合は自営業者(S)に入ります。

    自営業者(S)のメリット
    ・自分で仕事をしているため場所や通勤時間は労働者に比べて自由に選択できる
    ・仕事量の調節がしやすく、実績をもとに単価を上げることができるため、労働者と比べて大きな金額が稼ぎやすい

    自営業者(S)のデメリット
    ・自分自身が働けなくなったら収入も途絶えてしまう

    自営業者(S)は会社には勤めておらず、自分で仕事をしているため、場所や通勤時間などは労働者に比べて自由に選べます。また、労働者(E)と比べると、稼げる金額を増やしやすいです。仕事量を増やしたり、一つの仕事の単価を上げたりすることで大きな金額を稼ぐことも可能です。自分が好きなことややりたいことを仕事のなかにすぐに取り入れやすいこともこのカテゴリーの特徴です。

    しかし、自分自身が動いて時間を売ってお金を稼いでいる点は労働者(E)と変わりません。自分が働けなくなったら収入が途絶えてしまいます。計画性や健康管理能力などがより求められるカテゴリーといえるでしょう。

    ビジネスオーナー(Business Owner)

    ビジネスオーナー(Business Owner)は、会社を経営して収入を得ています。世界の約10%がビジネスオーナー(B)と言われています。お金を稼ぐの仕組み作りをして、人に動いてもらっている人たちのことを指します。会社を持っている人や起業家、お店のオーナーなどがこのカテゴリーに属しています。

    ビジネスオーナー(B)のメリット
    ・従業員を雇うことで大きなお金を生み出しやすく、自分の自由な時間も手に入りやすい

    ビジネスオーナー(B)のデメリット
    ・時間をかけて作った仕組みが必ずお金に変わるという保証がない
    ・従業員の生活を守るなど責任が大きくなる

    労働者(E)や自営業者(S)と異なるのは、自分自身が現場に出て働かなくてもお金を作れる点です。稼ぐ仕組みを作り、その仕組みのなかで多くの人に働いてもらってお金を稼ぎます。また、仕組みや会社を大きくして売却することでもお金を手にできます。

    ビジネスオーナー(B)は、お金の自由が手に入ります。しかしお金が入ってくるようにするためには、仕組みづくりが重要です。したがって、仕組みづくりが労働者や自営業者よりも重要になるといえます

    自営業者(S)とビジネスオーナー(B)の違いは?


    仕組みとは一体なんなのでしょうか。少し難しいので、ハンバーガーショップと3つのクワドラントを比べて考えてみましょう。
    自営業者(S)とビジネスオーナー(B)は、ビジネスの道筋を考えます。ハンバーガーショップで考えると、
    小麦やお肉をどこから仕入れるのか、どこでどのように加工するのか、従業員にどのように働いてもらうのか、ハンバーガーをどのように売っていくのか、ハンバーガー1個の値段はいくらにするのか、どれくらいの利益が出るのかなどです。
    さらにビジネスオーナー(B)は、その仕組みの中で働いてくれる人を探す必要があります。

    自営業者(S)とビジネスオーナー(B)の違いは、その仕組みの中に自分自身がいるかどうかです。自営業者(S)は自分が仕組みの中に入ることで、その仕組みが完成します。例えば焼き加減は全て自分で確認する、新メニューは自分で考えるなどです。そのため、自分は時間を使って働き続ける必要があります。

    一方でビジネスオーナー(B)は仕組みの中に自分がいなくても、働いてくれる人を雇うことで稼ぐことができます。自分の代わりに働いてくれる人がいるため、ビジネスオーナー(B)は時間の自由が確保できます。

    このように、ビジネスオーナー(B)になるためには、左側(EやS)にいる時には自分でできたことを、自分がいなくても人に動いてもらう仕組みとして考える必要が出てきます。また、ビジネスオーナー(B)には仕組みづくりだけでなく、会社を管理していく難しさがあります。会社が倒産してしまうと自分自身の収入がなくなるだけでなく、従業員も雇っているため、会社の経営には大きな責任が伴います。

    ビジネスオーナーになってみたいと思った場合は、労働者(E)や自営業者(S)として働きながら、自分が会社内で働けているのはなぜか(どのような教育があり、サポート体制があるのか)、これを人に動いてもらうにはどうしたらいいかという視点で働いてみましょう。ビジネスオーナーになる際に必要な視点を身につけられます。

    投資家( Investor)

    投資家(Investor)は株や債券、不動産などに投資を行ってお金を得ている人たちです。世界の約5%が投資家であるといわれています。一度に数億円、数十億円といったお金を動かせる人もいます。

    投資家(I)のメリット
    ・お金がお金を稼いでくれるため時間的な自由が得やすい

    投資家(I)のデメリット
    ・投資だけで生活しようと思った場合、原資となるお金を貯めるまでに時間がかかる
    ・投資先について自分自身で調べたり考えたりする力や先を見通す力が必要
    投資家(I)は資産(お金を生み出してくれるもの)を多く持っています。自分自身で働く必要がなく、お金がお金を稼いでくれる状態になるため、自由にできる時間が手に入りやすいです。その代わりに、人を動かし、ビジネスができるだけのお金が必要になります。

    投資家(I)はビジネスや、資産に投資をしてお金を増やしていきます。そのためには、自分自身で調べたり考えたりする力や先を見通す力が必要です。投資予定の会社の業績はどうか、仕組みやルールはどのようになっているのか、各国の経済状況や政治はどう動いているか、世界的に今後どのような動きがあるのかなど、より大きな視点で考え行動していく必要があります。

    キャッシュフロークワドラントの左(EとS)と右(BとI)の違い

    キャッシュフロークワドラントの左右の違いは「自分が仕事をしていない間もお金を生み出してくれる物(資産)」を持っているかどうかです。

    キャッシュフロークワドラントの左側の労働者(E)や自営業者(S)は自分で動いて稼ぐ人でした。どちらも自分1人の時間を使って自分自身が仕事をすることでお金を生み出しています。1日に働ける時間には制限があるため、稼ぐことのできる金額の上限にも達しやすいです。

    ビジネスオーナー(B)や投資家(I)は資産(会社や株、債券など)を持っています。仕組みやお金を働かせている人であり、お金にお金を稼いでもらうのです。人やお金に動いてもらうことでお金を稼いでいるため、労働者(E)や自営業者(S)と比べて自由な時間が手に入りやすいとされています。

    このような違いがありますが、自分自身がお金や自由な時間が欲しいからビジネスオーナー(B)や投資家(I)を目指すのではなく、どのようなライフスタイルを送りたいのか、なぜそれらが欲しいのかを考えることが大切です。その上で、がむしゃらに働いたとしても、稼ぎ方を考えなければいつまでも自分が欲しいものが手に入らない可能性があることは押さえておきたいポイントといえます。

    また、クワドラントの右側は資金が必要になります。潤沢な資金がない中で、いきなり右側から始めることは大きなリスクといえるため、労働者(E)として働いて資金を貯めながら、少しずつビジネスオーナー(B)や投資家(I)を目指すことも可能です。

    本来、稼ぎ方や働き方は自由なものです。そのため、労働者(E)として自分が取れる範囲でのリスクをとりながら投資家(I)をする、労働者として得た知識や技術を自営業者(S)として会社の外で役立ててみるといった方法も取ることができます。稼ぎ方や働き方は一つではないこと、掛け持ちをしてもいいこともお子さまに伝えられるといいですね。

    世界の富の分配割合は?

    各クワドラントの世界の割合は、以下の通りに推定されていて、労働者が最も多くいます。

    この数値はアメリカ合衆国労働省の統計データ、国税庁の統計データなどに基づいて推定されています。

    では、世界の富の割合はどのようになっているのでしょうか?世界銀行の「World Wealth Report」によると、2022年時点で世界の富は約530兆ドルです。そのうち上位1%の富裕層が持つ富は約190兆ドルで、全体の約35%の資産を上位1%の富裕層が持っているということになります。また、上位10%の富裕層が持つ富は約76.3%にもなります。

    そして、Credit Suisseの「Global Wealth Report」によると、その上位10%の富裕層は約60%が投資家やビジネスオーナーです。このことから、経済的自由、時間的自由を手に入れたいと考える場合、ビジネスオーナー(B)か投資家(I)の稼ぎ方を取り入れるとより早く手に入れられる可能性が高くなります。

    自分は将来どの位置でお金を稼ぎたい?

    どのクワドラントにもどのカテゴリーにもメリットやデメリットがあるため、自分がどこで稼ぐのか選び方は自由です。働き方を選ぶ際は、お子さま自身が何を大切にしたいかを尊重したいですね。進路を考えるようになった頃には、お子さま自身が人生で達成したいこと、やりたいことは何かを考え、それらを実行するにはお金や時間がどれくらい必要か考えてみてはいかがでしょうか?そうするとどのクワドラントでどれくらい稼ぐ必要があるのかが見えてきます。

    進路を選ぶのはまだ先だと考えていても、やりたいことを見つけて、それを叶えていく力は今からでも鍛えることができます。普段からお子さまのやりたいことは何か、大切にしたいものは何かという話を聞いてあげましょう。初めは小さいことでも大丈夫です。そして、それらを達成しながらやりたいことはできるという経験をさせて、自信をつけてあげましょう。その自信が社会に出て稼ぐことの原動力になってくれます。
    将来稼ぐ際には、キャッシュフロークワドラントの一つの場所に絞って稼ぐ必要はありません。複数のカテゴリーに所属するのはリスクの分散になるため、掛け持ちするメリットもあります。例えば、初めから投資に挑戦するのは怖いけれど、将来的にビジネスオーナー(B)や投資家(I)になりたいと考えている場合は、労働者(E)のカテゴリーにいれば、収入を得ながら、会社の仕組みについて学べます。また、自営業者(S)であれば自分自身で仕事を得る方法や、仕事の質を高める方法、世の中のニーズなどを知ることができます。

    また、投資家(I)になるにはそのための知識や経験が必要です。投資家になるつもりで、少しずつ投資に慣れておくことも大切です。こちらの記事では家庭で小学生でもできる投資体験の方法を紹介しています。
    投資を活用してお金を増やす力を鍛える!お小遣いを使った投資の練習方法も紹介!

    稼ぎ方も選んでなりたい自分になろう

    キャッシュフロークワドラントは、稼いでいる金額ではなく、稼ぐ方法に注目した考え方です。大きな金額を稼げるからといって経済的自由も時間的自由も手に入るわけではありません。お子さまのキャリアを考える上でお子さま自身は何が欲しいのか、本人の考えを尊重しつつ参考にしてみてください。

    みらいいではお金の学びに関する情報も発信しています。この機会に身近なお金について学びを深めてみてはいかがでしょうか。

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